「防火」と「耐火」ってどう違うの?#1【宅建士試験から学ぶ意外と知らない知識】

宅建士試験から学ぶ意外と知らない知識

みなさん、こんにちは。ライターの伊藤です。

今回から連載を開始する「宅建士試験から学ぶ意外と知らない知識」。
宅建士試験の勉強を通じて得た知識を解説していきます。

記念すべき第一回は、「防火」と「耐火」の違いについてです。

宅建士の試験では、「防火」「耐火」という言葉がたびたび登場します。
では、「火を防ぐ」と「火に耐える」、このふたつはどのように違うのでしょうか。


まず、「防火」について。
建築基準法では、防火性能の技術的な基準について、次のように定められています。


防火性能に関する技術的基準

第百八条 法第二条第八号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

 外壁及び軒裏にあつては、これらに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。

建築基準法施行令第108条

難しい表現が使われていますが、「防火」とは、建物のまわりで火災が発生した際に、その建物に火が燃え広がりにくい状態を意味しています。

イメージとしては、こんな感じ。

外壁や軒裏などを火に強い素材にして、周囲からの燃え移りを防ぐのが「防火」です。

次に「耐火」。
建築基準法では、耐火性能の技術的基準について、次のように記されています。

耐火性能に関する技術的基準

第百七条 法第二条第七号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(図省略)

 壁及び床にあつては、これらに通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。

 外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。

建築基準法施行令第107条

「耐火」は、建物内部から出火したときに、他の部屋・家への燃え広がりを防ぐというニュアンスです。

イラストで表すとこんな感じ。

宅建士試験では、「防火」「耐火」の引っかけが出たりします。
惑わされないようにしましょう。

最後に、クイズ。

建築基準法によると、「防火地域」内にある3階以上もしくは100㎡超の建築物は、どのような建築物にしなければならない?

A. 防火建築物
B. 耐火建築物

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